ランドのリスク

ランドのリスク

インフレ圧力と国内景気への悪影響

2004年以降、年平均5%の成長率を誇ってきた南アフリカですが、好景気と輸入品の価格上昇によってインフレが高まり、 2006年には4.6%だった消費者物価の上昇率は、2007年には7.2%、2008年は11.5%と深刻な事態に陥りました。


もちろん、金融当局も無策だったわけではなく、金利を徐々に引き上げていきました。しかし、インフレを下げることはできず、インフレの上昇は順調だった個人消費に水を差しました。 さらなる金利の引き上げを行っても、経済に良い影響を与えるかどうか疑問視される状況にまで至りました。 ただ、この状況も、2008年の世界的な金融危機による景気後退とランド安で、現在ではインフレ圧力も弱まり、政策金利も2006年前半の高さまで引き下げられています。

海外資本の流出とランド安への懸念

経済成長の中、高金利政策も手伝って、インフラ整備や鉱業・自動車産業への海外からの投資が進み、その反面、機械類の輸入が増加しました。 そして今や、南アフリカは多額の経常赤字を抱え込むことになりました。この状況で高いインフレ状態が続くようだと、資金の流出を招きかねません。


資金の流出とはランドを売ることです。当然、ランドの価格は下落します。 ランド安になると、輸入品の価格が上昇しますから、それが圧力となってさらなるインフレを導く、という悪循環に陥る可能性もでてきます。

電力問題

順調な経済の成長も、インフラが整備されてこそ可能です。いくら商品を大量生産したところで、それを運ぶ道路・港湾などが整備されていなければ消費者には届きません。 そのため、南アフリカでは、インフラの整備にもかなり多額の投資が行われています。また、2010年のサッカー・ワールドカップ開催も、それに拍車をかけています。


そういった中で、特に問題視されているのが電力不足です。主力産業である鉱業はもちろん、近年台頭してきた自動車産業においても、電力不足は深刻な問題です。 発電所の建設が決まるなど、手は打たれてきていますが、直ちに電力不足が解消できるわけではありません。 また、電力料金の引き上げも考えられているようですが、金融危機による景気後退の中で経済全体に悪影響を及ぼさないか、強いインフレ圧力をもたらさないか、といった点が懸念されます。

変動幅の大きい為替相場

世界的な金融危機の結果、オーストラリアドルやニュージーランドドルは高金利通貨としての魅了を大きく減じましたが、 その中で、南アフリカランドは、依然、高金利通貨としての魅力を持っています(2010年1月時点の政策金利は7.0%)。


しかし、何と言っても、基軸通貨である米ドルやユーロと比較すると、取引参加者も流通量も少ないマイナー通貨であることに変わりはありません。 昔とは違い、安定した経済状況にはなってきましたが、それでも少しの状況の変化が、為替相場の大きな変化に結びつくことも多々考えられます。その点、十分な注意が必要です。

為替の手数料について

為替取引をする際、為替手数料の存在に気をつけましょう。表面金利よりも手数料分だけ、実質金利が下がってしまいます。


1ランド=13円で考えてみましょう。例えば、片道の手数料が50銭だとすると、円を売ってランドを買う際に50銭、そしてランドを売って円を買い戻す際に50銭で、往復1円の手数料がかかります。 これは、元本の7.7%に当たりますが、この分を表面金利から差し引いたものが実質金利ということになります。

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